小山実稚恵リサイタルシリーズ 〈音の旅〉ピアノでロマンを語る 第1回 2006.7.6

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大好きなピアニスト、小山実稚恵さんのピアノリサイタルに行って来ました♪
会場は札幌コンサートホールKitara、その小ホールです。
プログラムは以下の通り。

シューマン:アラベスクハ長調 作品18
シューマン:幻想曲ハ長調 作品17
ショパン:ノクターン第8番変ニ長調 作品27-2
ショパン:マズルカ第32番嬰ハ短調 作品50-3
ショパン:舟歌嬰ヘ長調 作品60
シューベルト:幻想曲ハ長調「さすらい人幻想曲」作品15 D.760
●アンコール
バッハ:平均律第1集第1番より プレリュードハ長調
ショパン:練習曲 作品10-1ハ長調
ベートーヴェン:バガテル 作品33-5ハ長調

「小山実稚恵リサイタルシリーズ 〈音の旅〉ピアノでロマンを語る 第1回 白:ものごとのはじまり〜ロマンへのさすらいの旅」という長いタイトルがついた今回の演奏会。実は、小山さんが今年から12年間に渡って24回行おうとしているピアノリサイタルシリーズの記念すべき第1回だったのです。

演奏に先あたり、まず小山さんご自身のプレトークがありました。
小山さんにお会いするのは2003年9月のピアノリサイタル以来です。真っ白なドレスでご登場の小山さんは、相変わらず笑顔が素敵な方です。

1オクターブは12の音からなり、平均律の調性は24であり、また1日は12時間が2回巡って24時間、干支は12からなることなどなど、12と24と言う数字にこだわった理由をまずお話しされました。そして、今回第1回の選曲をハ長調=C dur(ツェードゥア)にこだわり、つまり=白、と言う色で始めたかったこと(だからドレスも白(^^))、ショパンではそのハ長調から一番遠い嬰へへの冒険を試みたことや第2回のリサイタルに繋がる作曲家同士の思いや深い関わりなどをわかりやすく説明してくださいました。

長い旅へのはじまりを誘うシューマンは、アラベスクから。私たちも一緒に旅立ちです。
小山さんのまっすぐで素直な音が、優美で可憐な曲にぴったりです。
幻想曲ハ長調は久々に全曲通して聴きました。行進曲風の第2楽章は、風格漂う王者の行進です。対照的な前後の1、3楽章のロマンティックさ、逡巡する気持ちの表現では、シューマンのクララへの熱い想いや苦悩がストレートに伝わって来て、たびたび胸が締め付けられるました。
久しぶりに真正面から見られる位置に座ったので、小山さんの腕や体の使い方が一目瞭然。ド迫力の強音でもまったく力みのない、しなやかに動く小山さんの腕の、無駄のない美しさにも、見とれてしまいました。

後半はショパンです。
ノクターンが始まると、あ、音色がショパンになった!(*^^)vガラッと空気が変わりました。
なんと装飾音が麗しいのでしょう。ショパンはこうあらねば。
繰り返される主題、それに対する最後の、想いの丈を全部吐露する答えの部分では、感極まってウルッと来てしまいました。
一変して不安げな雰囲気のマズルカ、ここでは小山さんの抜群のリズム感に感服しました。わ〜、これぞマズルカ、小山さんご自身が書かれた解説にあるようにこの「究極のマズルカ」を究極の演奏で聴かせてくれました。
舟歌はもうもう、バ〜ンと言う最初の音から、全部安心して任せられる安定感です。舵取りの左手に乗って、聴いている私たちも大海原に心地よく航海していました。

いよいよ今日のフィナーレ、シューベルトへ。
作曲したシューベルトが自分でも難しすぎて弾けず、「悪魔にでも弾かせてしまえ!」と言ったと言う、曰く付きの作品ですが、やはり、
ダンッダダ、ダンッダダ、ダン・・・という「さすらい人」のフレーズが始まると,否が応でも胸が高鳴ります。
途中、オクターブのスケールやアルペジオの華々しさにびびと思わず顏を見合わせたり、絶え間ない右手のきらびやかな上り下りに溜息が漏れたり、ポンポンと飛ぶ手の交差に目を見張ったり、と超絶技巧の数々にもワクワクし通しでしたが、緩急のメリハリもくっきりつけ、息切れも中だるみもすることなくグイグイッと聴く者を引き込んで行く演奏には心の底から惹き付けられました。
約25分と言う大曲ですが、全く飽きることなく、そこで繰り広げられるドラマに改めて名曲だなあとしみじみ感じ入ることが出来ました。
それにしても、何度も思ったのですが、小山さんの出す男性顔負けの力強い音は、本当に思い切りが良い音で、聴いていて胸がスカッとしますね。大好きです♪
すべてをこの曲に捧げて、そして次回へ繋がる期待感を込め、力を出し尽くした小山さんの演奏に、私たちは大拍手を送っていました。
とっても素晴らしかった!!さすらい人、圧巻の一言でした。

鳴り止まぬ拍手に応えて、アンコールは三曲。これも、なんと全部がハ長調!ここにも小山さんの心憎い演出がきらりと光っています。
穏やかなプレリュード、快活なエチュードに続き、かわいらしいバガテルへ。と、このバガテルの終わりにちょっとしたハプニングが!?
なんと、ドからドへと続く締めくくりが、レからドに!?これには小山さんご自身ががっくりされ、体をのけぞらせてしまいました。でもそれはもうご愛嬌ですよね。そんな微笑ましい様子に会場からも温かな笑いが・・・。

終演後はサイン会があり、私もびびも迷わず、一目散に並びました。
大舞台を終えたにも関わらず、やはりにこやかな小山さんに、こちらの心も和みます。
私は写真にありますこの演奏会シリーズの全ての曲の解説が網羅された本と、ショパンのバラードのCDに、
びびはびびお気に入りのショパン名曲集のCDにサインをしていただきました。

私が「24回全て聴きに来ますね」と言うと、小山さんは「ありがとう〜」と満面の笑みでおっしゃってくださいました。ところが、「あ〜、でもあんなにC(ツェー)にこだわってます〜、とか言っておきながらなんであそこでD(デー)を弾いちゃったんだろう〜」と、突然顏をくしゃくしゃにされてバガテルのミスを悔やまれ始めたんです!これにはビックリ!(@_@)
「いえいえ、演奏はとっても素晴らしかったですし、小山さんでもミスされるんだわってホッとしましたんですよ」と言ったのですが、小山さんは反省しきりでサインの手が止まるほど。
その様子にこちらが恐縮してしまったのですが、徹底したプロ意識の強さと、今回のリサイタルシリーズにかけられた並々ならぬ意気込みがずっしりと伝わって来て、私は感動を新たにしました。
びびは、小山さんに「がんばってね」と言われ、握手もしてもらい、もう芯からぼうっとなっていましたね。(笑)
小山さん、素晴らしい演奏と温かいお心遣いを、どうもありがとうございました。

音で綴る、壮大なピアノの旅が幕を開けました。
第2回目のテーマ色は深緑、メンデルスゾーン、シューマン、リストのプログラムで行われます。
あ〜、楽しみです。びびも私も待ちきれないかも・・・。(^^♪
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by pianoix | 2006-07-07 14:25
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